いつしか、自分が情熱を注げるコーチングという仕事を天職だと感じるようになりました。ありがたいことに、僕のコーチングを求めてくださる方々とのご縁にも恵まれ、日々向き合っています。
そんな折、コーチのコーチであり、ご縁あって一緒に仕事をさせてもらっている方から、はっとする三つの問いを投げかけられました。
問い:コーチとしてどこまでリーダーを連れていくか?
問い:コーチとして自分はどこまで成長・変容するか?
問い:リーダーとコーチの関係性をどこまで変えられるか?
衝撃だった。
コーチとして、これまで多くの問いをリーダーたちに投げかけてきた。相手が思わず唸るような、それまで考えたこともなかった問いを投げかけたい。それがコーチの価値。そんな思いで向き合ってきた。
ところが、コーチである自分自身が、逆の立場で唸るような問いを受けることは、これまでなかった。
今回は、まさに僕自身が唸りました。
別に即答を求められたわけではなかった。次のセッションまでに考えてきてほしい、というものでした。
だけど、すぐに自分の考えを書き留めずにはいられなくて、その場で言葉にして、印刷して、部屋の一番目立つところに貼った。
最初に書き留めた答えは、こんなものでした。
問い:コーチとしてどこまでリーダーを連れていくか?
このプログラム、このコーチングを受けていなかったら気づけなかった自分の可能性に、リーダー自身が気づく。そして、それを本人にも周囲にも見える形で成果につなげられるところまで、リーダーを引き上げたい。
問い:コーチとして自分はどこまで成長・変容するか?
自らも自己破壊し、コーチとしてもう一段上のステージに登りたい。これまでのやり方を前向きに否定することをリーダーに求めるだけでなく、自らも過去のやり方に捉われず、このプログラムを通じて貪欲に学び、実践し、検証を繰り返していく。
問い:リーダーとコーチの関係性をどこまで変えられるか?
コーチとの出会いが、その後のキャリアや人生の大きな節目になったと、後に感じてもらえるような関係を目指す。そのため、Devil's advocate(あえて異論を投げかける役割)を自ら買って出て、前提を揺さぶることを厭わず、リーダーと真剣に向き合う。
コーチングの前、コーチングの後。別のことをしている時にも、ふと目に飛び込んでくる壁に貼った自分の答え。
あれから10日ほどが経って、自分の中で少しずつ変化が起きていました。
最初に書き留めた答えが、いつの間にか形を変え、進化していたのでした。
もし、自分がコーチするリーダーの中から、将来その会社を背負って立つCEOが生まれたら?
コーチとして、リーダー本人や会社の期待に応えることはもちろん大切。
だけど、それだけではなく、自分自身の思いとして、その人を山の頂に押し上げることを目標に据えてみる。
目指すところとして、申し分ないではないか。
そして、いろいろな条件が整い、その人がCEOになった時、もう一度自分をコーチとして指名してもらえたら。
そう考えるようになってから、自分の中で大きく変わったことがあります。
それは、今、目の前にあるコーチングへの向き合い方です。
振り返ってみると、相手から承認されたいという気持ちがどこかにあり、答えに窮するような問いを投げかけることを躊躇していた自分がいた。
今は、相手がすぐに答えられないような問いにも、意識的に踏み込めるようになり、その後の沈黙にも耐えられるようになってきた。
今、目の前にいるリーダーが、自分のコーチングを一つのきっかけに、将来CEOになるかもしれない。そう思うと、これまで以上にワクワクしている自分がいます。
と同時に、その人がCEOになった時にも、コーチとして頼りにしてもらえる自分でいられるだろうか、と考えるようになった。
迷いが生じた時こそ頼りにされる存在。時には耳の痛いことも率直に伝えてくれる存在。自分を高めてくれる存在。そして、また一緒に仕事をしたいと思ってもらえる存在。
考えてみれば、これはコーチングのスキルだけの話ではない。
一人の人間としてのあり方や立ち振る舞いにおいて、一目置かれる存在であるかどうか。そこまで問われているように思う。
では、自分はどうか。
コーチングの型を学び、実践を重ね、相手に応じてアプローチを変えながら、自分なりのスタイルを作ってきました。これまで、自分の引き出しを増やしていくことが、コーチとしての成長だと考えていたところがあります。
もちろん、それは今も大切だと思っているけど、それだけでいいのだろうか。
リーダーには、自分の過去の成功体験や思い込みに捉われず、新しいことを試してほしいと願っている。時には、自分のやり方を前向きに否定することも求める。
ならば、自分自身はどうなのか。
自分のこれまでのやり方を疑っているか。周囲からのフィードバック、とりわけ耳の痛い言葉を受け入れているか。
リーダーに求めていることを、自分自身は実践できているのだろうか。
そんなことを自分に問いかけるようになりました。
以前、親しいコーチの友人から、一流のコーチを見極める一つの方法は、そのコーチ自身がコーチをつけているかどうかだと教わったことがあります。
その時も、なるほどと思った。
しかし、今になって、その意味が少し違って聞こえます。
今回、まさに自分がその経験をした。
あの時、自分なりに真剣に考えて書いた答えが、今ではもう十分な答えではなくなっている。
きっと、これからも変わっていくのでしょう。
自分がコーチするリーダーの中から、将来のCEOを輩出したい。そして、その時にまた自分をコーチとして指名してもらえるような存在でありたい。
そんな目標を抱くようになった今、あらためて思います。
僕自身、まだまだ発展途上にある。
そして、これから先も、ずっと発展途上であり続けたい、と。