[New] “なんとなく気になる” を大切にすると起きること ─ 日常から始めるAssociatingのすすめ
前回のニュースレター (Human Stories 11) でAtsukoさんがイノベーターの5つのスキルの一つとして紹介されたAssociating (連想する、関連付けする力) 。
とても気になって、書籍『イノベーションのDNA』を手に取りました。今の私にとって、最もホットなトピックのひとつです。以来、「Associating」というキーワードが、ずっと頭の片隅に居続けている感覚があります。
先日、社内の月次イベント “Connect” (*) で、先月参加した人材国際会議 (ATD) の共有をする機会に恵まれました。
(*) Connect
全社員が集い、(新メンバーを) 紹介・歓迎し合い、(仲間の功績) 祝福し合い、(取り組み) を共有し合い、組織のレイヤーを超えて、acknowledge (承認) し合うことを狙いとして、5年前にスタートした社内の取り組み。
4日間で300を超えるセッションの総括を10分という時間でどう表現するか?
至った結論は、ATD x Associatingでした。
Associating(連想する、関連付けする)力とは、一見無関係に見える特性や課題、問題、アイデアに共通点や補完関係の可能性を見出し、それらを結びつけて革新的な解決策を生み出す力とされています。
どうやったらそのような力を身につけることができるのだろう?事業開発に関わったことがない自分はそのような素養がないかも?そもそも何から始めたら良いのだろう?と思われている読者の方もいるかもしれません。
私はこのスキルは、ビジネスだけに限定されるものではない、もっと幅広く応用できる力だと思っています。
私の体験の共有を通じて、“連想する・関連付けする” ということを日々の生活に取り込んで、試してもらう人がでてきたら嬉しい限りです。
話をATDに戻します。
コロナ禍を経験した私たちは、オンラインでウェビナーの参加をすることを日常のものとして順応することになりました。
特に日本にいらっしゃる皆さんにとって、ATDに参加するために、費用と時間をかけて開催地の米国ワシントンD.C.まで足を運ぶという判断は、コストパフォーマンス、タイムパフォーマンスという観点で考えれば、合理的ではないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。なぜなら、オンラインで後にアーカイブ視聴、サマリーレポートを見ればコンテンツ自体の取得は可能だからです。
少し視点を変えて、こう考えてみるのはいかがでしょうか?
ATDに参加することで、どのような広がりが期待できるだろうか?と。
1年前のATDに参加した時の出来事です。
セッションの合間に外の空気を吸い、太陽の光を浴びようとテラスに出てリフレッシュし、会場内に戻ろうとした時のことです。ある方の姿がふと目に飛び込んできて、日本から来られた方かも知れないと、瞬間的にその方にお声がけをしました。
実はその方は、ATDのJapan支部を10年前にゼロから立ち上げられた創設者でした。
その方とお会いしたことがきっかけで、日米間で対話が始まり、それが継続していきました。“いつか一緒にコラボレーションしたいですね、という何気ない雑談から始まった言葉から一年。先月 “CLOと共に築く未来の組織づくり” という対談に発展しました。
もう一つ、印象的な出来事がありました。今年のATD参加前、その方に資格プログラムへの申込みを相談したところ、“Kaneさん、それならこのプログラムがお薦めですよ”、とアドバイスをくださいました。勧められたのは 「Master Trainer」という、まさに今の自分に必要なプログラムでした。(それがファシリテーションの分野で最上位に位置づけられるプログラムであることを知ったのは、実際に受講を始めてからでした)
およそ自分では選ぶことは無かったであろうプログラムへのチャレンジも、その方との繋がりが紡いだAssociatingの力だったのかもしれません。
言うまでもなく、会場を訪れる最大の醍醐味の一つは、世界で第一線を走るLearning & Developmentのスペシャリストや、登壇するスピーカーとの出会いです。
彼ら彼女らとの対話を通じて伝わってくる高い知的好奇心は、自分の内側にも波紋のように広がり、気づけば自分自身のレベルが少しずつ引き上げられていく感覚になっていました。
ATDのセッションで、あるワークショップに参加し、その有用性を感じました。そこからヒントを得て、そのワークショップを日本語に書き起こし、ATDの翌週に予定されていた日本でのワークショップに活用するアイデアを、スピーカーに伝えたところ、賛同を得て、ワークショップの教材の提供を得ました。当日の参加者からも好評を得ました。
振り返って思うこと
ATDを、ただそこに参加するという受け身の姿勢で捉えていたら、ここまでの広がりに発展することは無かったと思います。
一見、脈絡のないものをつないだらどうなるかと、シンプルに思いを巡らせてみて、それがワクワクするものであったら、先ずはやってみるということなのかと思います。
私にとってAssociatingとは、“心がふと動いた瞬間に、そっと手を伸ばしてみる” ことから始まっているかもしれません。
堅苦しく考えずに、“あれ” と “これ” をつないでみる。自由に妄想をふくらませる、そんな時間があってもいい。そんなひとときから、思いがけない何かが生まれるかもしれません。まずは、ふと浮かんだ組み合わせをメモしてみる。それだけでも、立派な始まりです。
今日、あなたがふと思い浮かべた “あれ” と “これ”、つないでみませんか?